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開講日
氏   名
    略  歴
講義概要
7月1日(木)

吉田 徹

(よしだ とおる)

法学研究科 准教授

平成9年慶應義塾大学法学部卒業、平成17年東京大学総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。日本貿易振興機構、同パリ・センター調査担当ディレクター、日本学術振興会特別研究員等を経て、平成18年より現職。専門はヨーロッパ・フランス政治、比較政治学。著書に『ミッテラン社会党の転換』(法政大学出版局)、『二大政党制批判論』(光文社)、共著に『政権交代と民主主義』(東京大学出版会)、『フランスと欧州統合』(法律文化社、近刊)など。


ポスト政権と交代の政治学

日本政治は歴史的な政権交代を経験し、新たな政治のあり方を模索する時代に突入した。「政権交代のある民主主義」「二大政党制」が実現しつつある今、果たして政権交代はどのようにして起こり、何を意味していたのかを振り返る。また新しい時代において、私たち有権者にはどのような思考や行動が求められているのか。迎えた変化と混迷の時代を、政治学の諸理論を参照しながら考える。




No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
7月5日(月)

片倉 晴雄

(かたくら はるお)

理学研究院 教授

昭和45年北海道大学理学部生物学科卒業、昭和53年同大学博士課程単位取得退学。理学博士。北海道大学理学部助手、講師、助教授を経て、平成9年理学研究科教授、平成18年より現職。専門は動物分類学、進化学。日本および東南アジアの植食性のテントウムシやハムシ類を主な研究材料として生殖的隔離、食性の進化、種分化機構の解明に取り組んでいる。

生物の変化:生息環境の
変化と進化の関連を考える

生物進化には二つの側面がある。一つは単一の系統が徐々に元とは違うものに変化してゆくことであり、もう一つは共通の祖先種が複数の子孫種へと分かれてゆくこと(=種分化)である。このうち、種分化機構の解明はダーウィン以来の進化学が解明すべき中心的な課題の一つでありつづけた。ここでは、近年関心が高まっている「環境の変化が種分化に及ぼす影響」について、植食性昆虫の種分化を例として考察する。

No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
7月8日(木)

白岩 孝行

(しらいわ たかゆき)

低温科学研究所 准教授

昭和62年早稲田大学教育学部卒業、平成2年北海道大学大学院環境科学研究科博士課程中退。博士(環境科学)。北海道大学低温科学研究所助手・准教授、スイス連邦工科大学客員研究員、総合地球環境学研究所准教授を経て平成22年4月より現職。専門は古気候・古環境変動論。現在は、多国間学術ネットワークとしてのアムール・オホーツクコンソーシアムの枠組み作りに取り組んでいる。

環境変化と越境的取り組み

オホーツク海と親潮域は、世界的にも突出して生産性の高い海洋である。近年、この理由としてアムール川がこれらの海洋にもたらす豊かな鉄の存在が明らかとなった。鉄はアムール川流域の湿原を主たる起源とするが、急速に進む土地利用変化がこの鉄を減少させている。鉄の減少に関わる上流域の農地開発と漁業資源を享受する日本がいかに協同してこの問題に取り組むか。国境を越えた取り組みを紹介する。

No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
7月12日(月)

工藤 峰一

(くどう みねいち)

情報科学研究科 教授

昭和58年北海道大学機械工学第二学科卒業、昭和63年同大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了(工学博士)、同年同大学工学部情報工学科助手、その後、助教授を経て平成13年同大学大学院情報科学研究科コンピュータサイエンス専攻教授。専門はパターン認識。最近では、着席時の姿勢の違いなど身近な生体情報を利用した個人識別にも取り組んでいる。

ネットワーク時代の光と影:
守れるかセキュリティ

いまや、世界はウェブを中心に回っている。あらゆる種類の文章、画像、映像、音楽が猛烈な勢いで増え続けている。そしてそれらは誰でもが自由に手に入れられる。何の価値もなかった”つぶやき”が社会を変えるかもしれない。プロメテウスが人間に与えた火の如く、情報技術が若い世代に与えた新しい「光」は「影」をも生み出す。本講義では、光のもたらす変革の予感を知る一方で自分を守るために影を理解する。

No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
7月15日(木)

石森 秀三

(いしもり しゅうぞう)

観光学高等研究センター 教授

昭和43年甲南大学経済学部卒業、ニュージーランド国立オークランド大学大学院に留学後、京都大学人文科学研究所研究員を経て、国立民族学博物館助手、助教授、教授、研究部長、研究センター長。平成18年から北海道大学観光学高等研究センター長、大学院観光創造専攻長。観光立国懇談会委員(内閣府)、文化審議会専門委員(文化庁)、国土審議会専門委員(国土交通省)などを歴任。国内外で観光開発に関する調査を行い、次世代ツーリズムに関する共同研究を推進するとともに、観光立国政策の理念に関する提言を行う。

観光創造が北海道の
未来を拓く

北海道はいま大きな曲がり角を迎えている。北海道の未来を拓くためには、4K(環境、健康、教育、観光)に焦点を当てる必要がある。観光はこれまで軽視されてきたが、グローバル化、グリーン化、少子高齢化、成熟社会化などの構造変化を視野に入れると、北海道の未来を拓く切り札の一つになりうる。そのためには従来型観光とは異なる新しい観光の創造が必要になる。観光創造の視点で北海道の未来を考察する。

 



No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
7月22日(木)

遊川 和郎

(ゆかわ かずお)

メディア・コミュニケーション研究院 准教授

昭和59年東京外国語大学中国科卒業。昭和56〜58年上海復旦大学留学。外務省専門調査員(在香港総領事館)、(株)日興リサーチセンター上海駐在員事務所長等を経て平成10年北海道大学言語文化部助教授。平成13年外務省専門調査員(在中国大使館)、平成19年より現職。著書に『中国を知る』(日経文庫)、『強欲社会主義 中国全球化の功罪』(小学館101新書)など。専門は現代中国研究、中国経済論。

中国の台頭で変わる
世界、日本、北海道

過去30年に及ぶ目覚ましい経済発展で中国はどう変わったのか。また近年の国際社会における台頭は世界にどのような影響を与え、世界はこれとどう向き合おうとしているのだろうか。もちろんそれは、我が国、そして北海道においても無関係ではありえない。中国が存在感を高める背景やそれに伴う国際秩序の変化、経済活動の様相を分かりやすく読み解き、今後の方向性を考えたい。


No

開講日
氏名
略  歴
講義概要

7月26日(月)

亀野  淳

(かめの じゅん)

高等教育機能開発総合センター 准教授

昭和62年広島大学経済学部卒業、同年労働省入省。経済企画庁、労働省などで雇用政策の立案、経済計画の策定、労働市場の分析などに従事。その後、株式会社たくぎん総合研究所、株式会社エコニクスを経て平成13年より現職。専門は人材開発、キャリア教育、労働政策などで、現在は、社会における教育の有用性、人材育成における学校や社会のあり方について研究を行なうとともに、北大においてキャリア教育を担当。

北海道の雇用を創る
−産業、大学教育、人材育成−

厳しい雇用環境の中、雇用を創出することが重要な政策課題であり、北海道はよりその側面が大きい。雇用を創出するためには、中長期的な視点で産業を育成していくことが重要であるが、そのためには産業を支える人材の育成が不可欠である。この人材育成に大学教育は役立っているのか、どのような役割を果たしているのか、などについて諸外国とも比較しながら考えてみたい。

 

No

開講日
氏名
略  歴
講義概要
8
7月29日(木)

川口 暁弘

(かわぐち あきひろ)

文学研究科 准教授

平成7年学習院大学文学部史学科卒業、平成12年3月学習院大学大学院人文科学研究科史学専攻博士後期課程中退、同年4月より学習院大学文学部史学科助手。平成13年9月より北海道大学大学院文学研究科助教授、制度改変によって准教授となって現在にいたる。日本近代史を専門として、日本人の憲法観を研究している。

 


日本近代史の変化と不変

日本近代史はペリー来航(1853)にはじまって玉音放送(1945)でおわる。この約90年間におこった変化ははげしかった。その反動で、国粋主義や日本主義がおこった。こうした理解ですむならば学問は要らない。変化のなかに変化への抵抗を見出し、不変をほこる物事に変化を見出してこそ学問である。前者の例として昭和戦前期の政権交代、後者の例に国体をとって、近代日本にとっての変化と不変を考える。