北海道大学シラバス
科目名[英文名]
一般教育演習(フレッシュマンセミナー)  Freshman Seminar
講義題目
蛙学への招待(論文指導) 
責任教員[ローマ字表記](所属)
鈴木 誠[Makoto SUZUKI](高等教育機能開発総合センター) 
担当教員[ローマ字表記](所属)
鈴木 誠[Makoto SUZUKI](高等教育機能開発総合センター) 
科目種別 全学教育科目(一般教育演習)  他学部履修等の可否 ---- 
開講年度   2009  開講学期 1学期  時間割番号 000184 
授業形態 演習  単位数 2  対象年次 1 
対象学科・クラス 基礎1-52組  補足事項  
 
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生物 両生類 蛙 形態 生態 進化 文化 食文化 自然環境 問題解決能力 学生参加型授業
授業の目標
今から約3億6000万年前のデボン紀に、暖かい沼地の浅瀬から勇気ある両生類の先祖(ユーステノプテロン)が陸を目指した。それは、水圏からの脱出、すなわち体重を支えるための骨格の劇的な進化と、空気中の酸素を獲得するための未完成な肺の誕生を生み出した。この陸上への進出がなければ、私たちヒトは今日存在しなかったのである。
本講座は、現存する両生類の中で特異的に進化した無尾目を、形態や生態、繁殖戦略や鳴き声といった生物学的側面と、絵本や物語また食文化といった文化的側面から分析し、激変する両生類周辺の環境を通して、総合的に両生類を捉えようとするものである。また文系理系を問わず、授業を通して将来研究者として必要な問題解決の視点と手法をマスターしようというものである。
なお、本講座を希望する学生は、下記の到達目標や授業計画、また備考を熟読の上、第1回目の授業を必ず受講した上で履修届を出されたい。
到達目標
1 日本産カエル目5科37種5亜種の種名と形態を判別することができる。
2 魚類から両生類へ進化したおよその仮説を図示できる。
3 系統解剖実習を通して101の器官名と働きを覚えることができる。
4 日本産カエル目5科の代表的な鳴き声をリスニングすることができる。
5 カエルの繁殖戦略のうち精子間競争が理解できる。
6 ヒトとカエルの関わりを、文化や食文化の側面から理解できる。
7 危機に瀕する両生類について、自然環境や病理から理解できる。
8 2ヶ月に及ぶ学生が行う授業を準備することによって、問題解決(情報収集・情報   処理・推論・メタ認知)の手法を習得することができる。
授業計画
1)カエル検定(カエルの基本的形態と生態)
本講座の目的 学習内容 評価方法 参考書
2)自己紹介 カード作り 今後の予定 授業テーマについて グループ分け
  日本のカエル・世界のカエル
3)両生類の文献検索実習(情報教育館A教室)
※特別研修1 鮭の科学館(両生類の外部形態観察会)/カエルの食文化実践研究
4)「マイガエル」90秒スピーチ
  魚類はいかにして地上に進出したのか1  (授業テーマ・計画書の提出)
5) 魚類はいかにして地上に進出したのか2DVD ・カエルのコミュニケーション1
6)マイガエルを作ろう!ウシガエル・ドライラボの製作1 基本着色
7)ブレインストーミング「面白い授業って何?」・カエルのコミュニケーション2
8)ウシガエル・ドライラボの製作2 内部形態の理解
9)Rana catesbeianaの模擬解剖 解剖スキルの獲得
10)Rana catesbeianaの系統解剖(生物実験室)
11)学生による授業1:例えば「おたまじゃくしの生き残り戦略」:2006年最優秀
12)学生による授業2:例えば「今カエルが危ない:ツボカビの恐怖」:2007年最優秀
※特別研修27月の蒸し暑い夜 野外実習:メイティングコールのリスニングテスト(北大農場
13) 学生による授業3:例えば「カエルの飼育とその教育的効果」:2007年最優秀
14)学生による授業4:例えば「poison frog 毒って素敵ね」:2005年最優秀
15) 野外最終試験(北大農場)(農場・SCS教室)
準備学習(予習・復習)等の内容と分量
「蛙学への招待」は、多くの先輩たちの努力によって築き上げられてきた屈指の人気授業である。最後は学生が自ら教材研究を行い、教官に代わって授業を行うという画期的なスタイルで進められる。そのために現地調査や取材、各種編集作業やリハーサル等、授業のための努力とモチべーションが要求される。知的好奇心や体力も必要であろう。学生はある程度の覚悟が必要である。また、多くの授業場面で作業を伴う。なお、本
年度は水田や野山での実習や施設見学など特別研修も予定しており、休日の出動があ
る。
成績評価の基準と方法
学習態度の観察評価10%、各種提出物20%、授業評価35% 作業ファイル(ポートフォリオ)15%、最終レポート20%、自己評価も加算することがある。なお、グループ面接や個人面接を行うことがある。
平成18年度の成績評価の結果は、秀13%・優34%・良45%・可4%・不可4%であった。
テキスト・教科書
両生類の進化 / 松井正文 : 東京大学出版会, 1996, ISBN:4130601636
フォトサイエンス生物図録 カエルの模擬解剖 / 鈴木 誠 : 数研出版, 2007, ISBN:978-4-410-28376-5
意欲を引き出す授業デザイン / 鈴木 誠 : 東洋館出版社, 2008, ISBN:9784491023472
日本のカエル:山渓ハンディ図鑑/Williams E.Duellman/Biology of Amphibians,市川 衛:蛙学:裳華房,松井 正文:カエル―水辺 の隣人:中公新書
講義指定図書
ヒキガエルの生物学 / 浦野明央・石原勝敏 : 裳華房, 1987, ISBN:4785358084
進化論の見方 / 河田雅圭 : 紀伊国屋書店, 1989, ISBN:4314005246
動物解剖図 / 日本動物学会 : 丸善, 1990, ISBN:4621034553
参照ホームページ


備考
更新日時
2009/01/22 15:00:58